教員紹介

栄養学部教員コラム vol.82

2014.09.18 管理栄養学科 田 博

魅力的なキノコ、ヒラタケ

ミャンマー連邦共和国のビクトリア山の中腹でゼミ生たちとキノコのフィールド調査を行なった。ミャンマーは熱帯地域に位置し、キノコ類のほとんどが中温菌であるためか、ミャンマー人はキノコに馴染みがなく、「キノコ学」という学問もミャンマーにはないとのことである。

 

標高2千メートルの地で「キノコ発見!」と叫ぶ学生の指差す苔生した倒木をみると、かさの大きさが10~15cm、半円形で表面は淡褐色のヒラタケが群生していた。ヒラタケは古来より日本人には馴染みが深く、「今昔物語」や「平家物語」にも記述がなされ、マツタケに勝るとも劣らない由緒正しきキノコなのである。

 

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近年、オガ粉を用いた人工栽培法が確立されたが、店頭に並べられたヒラタケは見るも哀れ、小さなつぼみのうちにむしり取られ、胞子を飛ばすこともままならない状態で出荷されている。大きく生長した野生ヒラタケの歯ごたえと味には到底及ばない。

 

ヒラタケは樹木の主成分であるリグニンを分解し、倒木や切り株などに発生する。条件次第では生木にも生育し、キノコをつくる。その樹木分解力は他のキノコ類の比ではない。

 

ゼミ生たちはミャンマーの厳しい自然環境下で逞しく生きるヒラタケに興味津々で、現在、ミャンマーで活用されていない資源、間伐材、サトウキビの搾りかす、稲ワラ、モミ殻、コーヒー粕などを用いてヒラタケのバイオマスにチャレンジしている。これらをキノコに食べさせ、キノコを収穫しながらこれらを有用資源に変換しようという試みである。

 

ところがこのキノコ、分解力が強すぎてリグニンだけを分解させようとしても他の有用物質までも分解してしまう。元来、キノコというものは分解しやすいものから利用していくという習性があるようだ。

 

ゼミ生たちはヒラタケの習性を明らかにしようと、日々、悪戦苦闘をしている。いずれヒラタケは、ヒラタケがもつ大きな力を彼らに示してくれるものと思う。

 

 

田 博(健康栄養学科)

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