教員紹介

栄養学部教員コラム vol.4

2008.10.09 管理栄養学科 倉沢新一

最近の食物繊維事情

「食物繊維」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
私の研究室では、食物繊維に関するいろいろ調査研究をしています。

例えば、食物繊維の定量や生理作用を調べています。
食物繊維の定量とは、食品中にどれだけの量の食物繊維が含まれているか調べます。
しかし、ここで困ったことがあるのです。
研究者によって食物繊維の定義が違うのです。
定量とは、ある特定の物質がどれだけ存在するのかを調べることですが、
定量しようとする物質がはっきりしなくては定量のしようがないのです。

古典的な定義では、
「植物性の食品に含まれる植物細胞壁の成分で消化吸収されない難消化性成分」
となっていました。
しかし、食物繊維の範疇に、難消化性のデンプンや、
動物性の食品に含まれる難消化性タンパク質も加えるべきであるという考えや、
人工的につくった難消化性成分である、ポリデキストロースやオリゴ糖も加えるべきだ
という考えもあります。
そこで、本研究室では、食物繊維の定義と定量法を包括的に検討しています。
さらには、より簡便で正確な定量ができるように、既存の定量法の改良も検討しています。

このほかに、難消化性で消化吸収されない成分である食物繊維は、
消化管内で多様な生理作用を発揮しています。
これらの生理作用についても調べるための実験をしたり、
日本人がどのくらいの食物繊維を摂取しているかを調査しています。

 

 

(↑写真は、改良した総食物繊維定量に用いる試薬です。共同開発・評価を行いました。)

最後に、賢い食物繊維の摂取法について一言。
食物繊維とは、難消化性の多くの種類の化合物の総称です。
食物繊維の多様な生理作用はそれぞれの食物繊維によって異なります。
多様な食物繊維の効果を得たければ、いろいろな種類の食物繊維を食べるべきです。
そのためには、サプリメントではなく、
植物性食品(穀類、いも類、野菜、果物、海草、キノコ、など)を
いろいろ食べ合わせることが一番です。
健康は栄養が支えています。
おいしく食べて元気にお過ごしください。

 

 

倉沢新一(健康栄養学科)

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