栄養学部教員コラム vol.10
2009.05.07 管理栄養学科 井上浩一
ある食品や栄養成分の新たな効果などが放送されると、
特にふだんから気になっていた事柄に効くという内容であれば、
「少し試してみようかな…」と心が動かされた経験はないだろうか?
このことは専門家でさえあり得ることからも、
一般の消費者が飛びつくのも無理はないことである。
「これさえ食べれば健康には問題ない」あるいは
「これなら絶対危険はない」食品や成分というものは、存在しない。
このように、食べ物が健康や病気に与える影響を過大に評価し、
信奉することフードファディズムというが、
話題を提供してくれる格好の食の情報は、
一方で健康効果を過大に評価させ、
のめり込ませる危険な面ももっている。
次々と新たな効果・効用がうたわれ、
人はマスコミやネット等の情報を信じてしまい、
高い物を買って後悔する。
「もう二度と買わないわ」と決心しながら、
いつの間にかまた、同じことを繰り返している。
この点からも、「食」の専門家である栄養士には、
この情報が何を意味し、どのようなことなのか、
このような情報の裏側にある意図まで含めて読み取り、
説明できる能力が必要である。
つまり「メディアリテラシー」、すなわち、
情報の評価・識別する能力が求められている。
井上浩一(健康栄養学科)