栄養学部教員コラム vol.83
2014.10.16 管理栄養学科 倉沢 新一
私の担当科目の一つに「生化学Ⅰ」があります。生化学Ⅰは基礎科目として、一年生の春学期に学びます。生化学は、生物化学ともいい、生物を化学的に理解しようとする分野です。なぜこのような科目が管理栄養士になる人の基礎科目として必要なのでしょうか。それは、食べ物の栄養素などの成分が化合物であり、同様に、ヒトの体をつくっている成分も化合物だからです(ここでは、精神などに関することは横に置いておきます)。私たちは、化合物(食物の成分)を体の中に取り込み、これを材料として生きていくために必要なヒト体の成分を合成し、エネルギーを生産します。合成や生産は、化学反応によって実現しています。ということは、ヒトが健康に生きていくことは、正常な化学反応を継続し続けることです。食べ物や食生活の面からヒトの健康を支えるのが管理栄養士です。ですから、管理栄養士は、摂取した化合物が、どのような化学反応を進めることにより、どのように健康を保っているのかを知っておくことは大切なことなのです。そのために生化学を学んでもらうのです。
「エーッ!!生化学~!?」、「生物を化学的に理解する~~ッ!?」「いやだそんなの!!」という声が聞こえてきそうですが、生化学者になるのではないのです。高校の化学や生物の基礎を土台に、ほんのちょっと深く学んでみましょう。生命の仕組みは、神秘的で奥深いものです。そして何より、管理栄養士としての仕事に自信が持てるようになります。
参考のため、生化学Ⅰの授業の初めに使うスライドを紹介します。
倉沢 新一(健康栄養学科)