栄養学部教員コラム vol.199
2024.08.02 管理栄養学科 田﨑 達明
当研究室では、ゼミナール生とともに韓国キムチへの微生物関与を研究してきました。
輸入キムチのサンプルを入手し、それらを構成する乳酸菌を中心に、添加物や調味料等を分析することによって、我が国のキムチとの違いについて検討してきました。
昨年は、塩漬けした白菜の葉の間に、大根、人参、ネギなどの野菜、唐辛子粉、ニンニク、生姜をすりおろしたもの等の香辛料で構成される、いわゆるペチュキムチ系の「白菜キムチ」の製造に取り組みました。
しかし、すぐに思い通りのキムチができるわけでもなく、まずは市販の韓国産のキムチを構成する乳酸菌の分離・解析から始めました。
以前にも紹介しましたが、調理方法については、韓国で製造され日本に輸出しているキムチは、キャベツ、ニンニク、ショウガ、トウガラシなどに由来する微生物を利用した乳酸菌等の発酵により製造されています。
今回、韓国産キムチについて、乳酸菌の菌培養を行ったところ、全ての検体(商品)から乳酸菌が多く検出されました。菌培養の結果、一般細菌数は2.6×104〜1.3×106cfu/gの範囲で、乳酸菌は2.0×104〜1.2×106cfu/gの範囲で検出されました。
検出された乳酸菌を分離しさらに増菌培養した後、生化学的性状試験、カタラーゼ試験及びグラム染色などを行なった結果、一部の韓国産キムチの構成乳酸菌は短桿菌で、他の構成乳酸菌は桿菌と推定できました。
乳酸菌の生化学的性状試験及びグラム染色試験による検鏡より、韓国産キムチAには短桿菌であるLacto.brevis 1、Lacto.brevis 2、Lacto.brevis 3が存在すると推定しました。
これとは別に、韓国産キムチB及びCには、桿菌のLacto.pentosus 、Lacto.plantarum 1、Lacto.plantarum2、Lacto.fermentum1、Lacto.fermentum2、が存在すると推定しました。
これらの乳酸菌は、キムチに添加されたものまたは原材料由来によるものと考えられます。
次の研究では構成する乳酸菌相の調査を進め、併せて分子生物学的解析を検討し、併せてキムチも作っていく予定です。
図 韓国産キムチAの顕微鏡写真