栄養学部教員コラム vol.3
2008.09.11 管理栄養学科 佐藤容子
今から30から40年ほど前、米国Yale大学のL. B. Cohen博士の研究グループで、
「膜電位感受性色素を用いた細胞電位活動の光学的測定法」の
開発研究が進められていました。
生命現象は、生体を形作る細胞の電気的活動により営まれていますが、
この光学的測定法は、この電気的活動を光のシグナルとして見る画期的な方法で、
当時行われていた電気生理学的測定法とは一線を画す一大発明と噂されました。
この研究グループのメンバーに、一人の日本人研究者が含まれていました。
その名は神野耕太郎(現東京医科歯科大学名誉教授)。
神野博士は帰国後、独自に光学計測システムを作成し、
数多くの研究業績を残されました。
それが今、ここ関東学院大学に受け継がれ、世界に向けて
データを発信し続けています(写真1)。
写真1:1020ch光学計測システム。
東京医科歯科大学医学部第二生理学教室で作製され、
2007年9月から、関東学院大学人間環境学部健康栄養学科にて稼働中。
市販の光学計測システムが出回るようになった今日でも、
世界最高性能の測定システムの一つと謳われている。
光学的計測法は、生体活動をイメージング画像として
視覚的にとらえることができるため(写真2)、
いまや培養細胞から手術中のヒト脳機能モニタリングまで
幅広く活用されています。
先人のまかれた種を大切に育てつつ、新たな飛躍を目指して頑張りたいと思います。
(光学計測法に興味を持たれた方は、
http://square.umin.ac.jp/optical/ をどうぞご参照下さい。)
写真2:ラット胚の脳(a)・脊髄(b)における神経活動の伝播パターンのイメージング。
色のついているところが活動している部分で、興奮の伝わっていく様子がわかる。
佐藤 容子(健康栄養学科)