教員紹介

栄養学部教員コラム vol.162

2021.06.14 管理栄養学科 田崎 達明

「生態系と私たち」

このコラムでは隔年ごとに春の渡り鳥の報告をしています。2021年の4〜5月の渡りの季節には、今年もツバメ、アマツバメ、イワツバメ,シギ・チドリ類が観察されましたが、近年ツバメやシギ・チドリの数が激減していることを皆さんご存知でしょうか
環境省が発表した最新のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)には、我が国に生息・生育する3,155種の野生生物が、絶滅のおそれのある種(絶滅危惧II類(VU)以上)に掲載されています。
そう、今や生態系は危機的状況にあるのです。
いま、世界は新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という)のパンデミックに直面しています。1970年以降に発生したSARSやMERSなどの新興感染症はそのうちの7割が動物由来の「人畜共通感染」です。この背景には、世界人口の激増、森林伐採、自然環境の過剰利用、野生生物の食用とペット化などのよる人類による生態系の攪乱が関与しているとされています。
昨年7月7日、国連は「持続可能な開発目標報告2020」*1を発表しました。各国政府によるSDGs(持続可能な開発目標)の進捗を明らかにする一方、その取り組みに対する、COVID-19の影響について言及しています。特に、その関係が強く指摘されたのはSDGsの「目標15:陸の豊かさも守ろう」においてです。報告では、世界の生物多様性の劣化・消失が、感染症を引き起こす一因として注目されるなか、「生態系の保全と回復を目指す国際的な取り組みの重要性」を改めて示しています。
人類、野生生物そしてそれを取り巻く環境の保全があり、これらの健康を維持、推進することを「ワンヘルス」(One Health)*2と言います。
金沢八景には昔の自然は残されていませんが、栄養学部をはじめ、学生の皆さんにはこの「ワンヘルス」を念頭におき、栄養の勉強はもちろんのこと、いまある環境を保全することの大切さをしっかりと学んで欲しいと思います。

*1:https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/

*2:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172990.html

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