教員紹介

栄養学部教員コラム vol.167

2021.11.09 管理栄養学科 山岸 博之

習慣化

昨年は担当する講義科目を全てオンデマンドでこなした。リモート授業の弊害のひとつとして、課題の多さがメディアでも話題になった。私も、毎回の受講状態を確認するべく、課題を課した。理由は、期末試験ができない前提であり、成績評価の基準がないからだ。学生は勿論大変だが、出題内容のチェックと採点もやはり大変だった。お互い様である。

こうした準備がとても大変だったので、リモート用に作成した教材を使い捨てにするのは忍びない。昨年度末のある日、「来年度は基本的に対面授業の実施を予定しているが、何とか有効活用したい。」と、教育学部の先生と話していると、予習を前提にした「反転授業」なるものが、教育効果が高くて良いらしい。あらかじめリモートで予習しておけば、難しい所や、重要な部分を重点的に対面授業で説明することが出来る。しかし、実行する上でとても大きな問題が浮上した。反転授業が成功するキモは予習を前提にしたアウトプットであり、グループワークなどがある演習授業で効果的らしい。私は講義科目での導入を目論んでおり、グループワークなど全く予定していないのでアウトプットに一工夫が必要だ。

私の担当科目に苦手意識を持つ学生はとても多い。恐らく全国の養成校で多くの学生が苦手と感じているだろう。「難しい❗」と理解する努力にフタをしがちな科目なので、ストーカーの様に再履修する学生もいる。そんな学生でも4年生になると背水の陣で望むからか、期末試験は余裕でパスすることが多い。つまり、後がない4年生は、真摯に向き合った結果として好成績をマークするのだろう。この向き合うきっかけとなるアウトプットを設定出来れば、講義科目であっても反転授業の効果が出るはずだ。

卒業パーティーの席では、国家試験の出来も良かったのか、ストーカー気味だった学生も、晴れ晴れとそして自慢げな顔つきで近づいてくる。飲食を伴うパーティーは一昨年に引き続き昨年度も取りやめとなったが、短時間の歓談の場は設けられた。自慢げな学生と話しながら思ったのは、課題をこなすためには、それなりに考える必要があったことだ。お互いにしんどかったが、それなりの効果があったはずだ。昨年の秋学期は期末試験を実施したが、全体的に成績が良かった。なかでも、4年生の出来は素晴らしかった。

今年の春学期からは、予習編と復習編の2種類の課題を課している。春学期の授業改善アンケート結果では、お世辞にも「好評価」とは言えないが、そこそこの手応えでもあった。秋学期は少し負担を軽くしてリニューアルして実施中だが、初めて経験する1年生や再履修の学生は、まだ要領をつかめていない。結果として、提出された課題の作文は読みにくい。採点時間も2年生より長く必要だ。一方、半分あきらめの境地で春学期を乗り切った2年生は、考えながら読み、情報を整理する習慣がついてきたのだろう。考えを正確に表現する力も少しずつついてきている。春学期の経験では、10回を超えて終盤になるとアタマの使い方に慣れてくるのか的外れな回答も減り、文の構成もスッキリしてくるのでだいぶ読みやすくなる。今後に期待しよう。

昨年の教員コラムで、私の悪筆にデジタル機能が追いつかないが故のAX (アナログトランスフォーメーション)を紹介した。一昨年までは、プレゼンテーションアプリで講義をしていたが、反転授業を実施するに当たり私なりのDX(デジタルトランスフォーメーション)が起きた。スライドショー機能では、添削や細かな説明には向いてないと感じたので、ピンチ機能とペン書きを自由に使えるノートアプリを主に使用している。スライドショーとは異なり、添削もしやすく、細かな書き込みも可能なため、痒いところにも手が届く。

この夏は久しぶりに歯医者に通った。最終日、フロスや歯間ブラシの使い方講習を受けた際に、「奥歯は磨きにくいですが、諦めないで、どうしたら磨けるか考えましょう。」とのことだった。「難しい❗」と諦めず、「考え、挑戦する習慣を持つことが大事だ」と、再確認した。「何事も同じ」と気づかされ、思わずニヤッとしてしまった。

ノートアプリならば、拡大した画面をスクリーンに投影できるので、ペンを使って細かな点も説明できる。

 

 

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