栄養学部教員コラム vol.185
2023.05.23 管理栄養学科 菅 洋子
入試の面接では、必ず志望動機をお聞きします。質問内容は、なぜ栄養学部を志望するのか、なぜ関東学院大学に入りたいのか、そして、管理栄養士を目指したいと思ったきっかけは何か等です。「ご家族が病気になり、病院食を思うように食べることが出来なかった」「食を通じた健康づくりに興味がある」「スポーツ選手の栄養サポートをしたい」等、皆さんのきっかけは様々です。
私が管理栄養士を目指すことになったきっかけは、スポーツ活動中に大怪我をしたことです。高校2年の夏、バスケットボールの試合中の接触プレーで相手の膝が太ももに激しく当たり、大腿部外側広筋を損傷しました。自力で歩くことも出来ず、チームメイトに電車に乗せてもらい、母に最寄り駅のホームまで迎えに来てもらいました。膝関節内も損傷しており、後日、スポーツ整形外科がある関東労災病院で手術することとなりました。
筋のダメージが大きく数週間松葉杖を使用していたこともあり、あっという間に脚の筋肉は落ちてしまいました。軽いジョギングが出来るようになるまでに2ヶ月、試合復帰するまでに4か月、完治するまでに6か月かかりました。その間のリハビリを通じて、「どうしたら早く治るか」「筋肉を早くつけるために何を食べたらよいか」「骨の材料は何か」などと考えるようになったことが、栄養学に興味を持ったきっかけです。同じくリハビリ仲間だったチームメイトから「管理栄養士」という資格について教えてもらい、大学の進路が決まりました。当時は「スポーツ栄養」という学問分野がなかった時代です。スポーツ選手の栄養サポートをするような仕事につきたいと考え、卒業後は体育系の大学院に進学し、運動生理学、特に筋生理を専門に学びました。
卒業後は、民間企業、公務員、健康コンサルタント&プログラム開発等の仕事により、中高齢者の健康づくり、虚弱高齢者の介護予防を中心に研究やコンサルティングを行ってきました。関東学院大学に来てからは、野球部、サッカー部、陸上部、バスケ部等、アスリートと関わる機会も多く、管理栄養士を目指すきっかけであったスポーツ栄養、アスリートの栄養サポートを実践しています。
3月に行われた野球の世界大会、WBCで注目された大谷翔平選手は、野球で活躍するために高校時代から食事や栄養にも気を遣い続けています。30歳までは身体づくり、技術はそれ以降でも高めることが出来ると、現在は徹底して食事にも気を付けているそうです。アスリートのパフォーマンス向上のためには、今後さらにスポーツ栄養を専門的に学んだ管理栄養士のサポートが必要とされる時代になってくると思います。
文責:栄養学部 菅洋子