栄養学部教員コラム vol.8
2009.03.12 管理栄養学科 山田 哲雄
10年経てば誰もが10歳だけ歳をとる訳ですが、
40歳よりは50歳、50歳よりは60歳と、
年齢が高くなるほど何か感じるものが大きくなると思います。
高齢者の健康維持は、超高齢社会の大きなテーマです。
とりわけ骨粗鬆症や、それによって引き起こされる骨折は
寝たきりの原因になることが多く、その予防が重要な課題となります。
一次予防の観点からは、栄養と運動がそのための方策の両輪となりますが、
より活き活きと過ごすためには運動が欠かせません。
寝たきりの状況は、宇宙空間での無重力環境下で暮らした状況とよく似ています。
写真は、2006年にトロントで開催された
国際骨粗鬆症財団(International Osteoporosis Foundation(IOF))の
国際会議(写真左)でのものですが、
「Bone Research in Space」というシンポジウムが行われています(写真右)。
高齢者の方が運動を行う場合は、
まずは健康度と体力をよく把握しておくことが重要で、
そのレベルに応じた運動を行えばよく、無理をして頑張る必要はありません。
スポーツ選手では骨に大きな負荷をかけることで骨形成が促されますが、
高齢者の場合にはそんなことをやるとすぐに怪我をしてしまいますし、
体重程度の負荷をかけることで充分です。
筋力・全身持久力・調整力(身のこなし)と柔軟性の向上を目指す運動を組み合わせる、
すなわち、筋量・筋力を維持することとバランス感覚を養うことで、
結果的に転倒防止につなげることが目標となります。
私たちの研究(本学健康栄養学科の松崎先生、兵庫県の高齢者施設との共同研究)では、
ケアハウス入居者のQOLを高めるための調査・研究が行われています(下の写真)。
今後も、超高齢社会に対して貢献できる研究を続けていきたいと考えています。
山田哲雄(健康栄養学科)