栄養学部教員コラム vol.25
2010.06.17 管理栄養学科 津久井 学
こんにちは。健康栄養学科の津久井です。植物のネバネバについて研究を始めてから、約15年が経ちました。今回は、これまでのマスコミの取材で最も多かったかゆみの原因についてお話します。
ヤマノイモを薄くスライスして顕微鏡をみると、皮部に近い細胞の所々に写真(1)のような針の束を見ることができます。この正体はシュウ酸カルシウムで、これが針状結晶として、数十本〜数百本単位で細胞内に入っています。イモをすり下ろすと細胞が壊れ針が細胞外へ飛び出し、これがすり下ろしたり、食べる際に皮膚に刺さるため、かゆみを感じます。同じような現象は、コンニャクイモやサトイモでも起こります。この針状結晶は、水には溶けにくいため、「とろろ」をよく混ぜてもかゆみの原因は無くなりません。
では、かゆくならないためには、どうすれば良いのでしょうか?
(1)酢を入れる。この結晶は酸性化では容易に溶けてしまいます。
(2)イモの中心部のみすり下ろす。皮部に近い細胞の中に結晶がありますので、中心部のみを使用することでほとんどかゆみを感じなくなります。
(3)イモを冷凍し、凍結状態ですり鉢ですり下ろす。凍結状態ですり下ろすことで、写真(2)のように針状結晶がポキポキ折れてしまい、皮膚に刺さりにくくなります。
(4)皮膚に刺さらないように、上手に食べる。
もし、かゆみを感じた場合には、こすらず、ネバリ成分を温水などで洗い流すようにするとかゆみが和らぎます。
写真(1) | 写真(2) |
津久井 学(健康栄養学科)