栄養学部教員コラム vol.71
2013.12.05 管理栄養学科 吉田 博
今年も大学祭の期間を活用して健康栄養学科の12名(4年生6名、3年生6名)の学生諸君とともにミャンマー連邦共和国・ヤンゴン農業省でセミナーを行ってきました。先年、ミャンマーは軍事政権から自由化路線に舵を切り、凄まじいばかりの熱気の中で変化しておりました。
我々が滞在したヤンゴン市内の道路も慢性の大渋滞、昨年、市内を走っていた車は2万5千台、今年は12万5千台、ホテル代も3〜5倍に、この急激な変化に素朴なミャンマー国民はついていけるものか、この国の将来が少々心配になりました。
市内の喧騒を離れたヤンゴン郊外の熱帯林でフィールド実験を行いました。
「キノコ類の簡易人工栽培法」、「Agar-woodの人工生産システムの構築」という2つのテーマで現地の人々と一緒にフィールド実験を行いました。
このセミナーの趣旨は、建前は国際貢献、しかしその本音は、教わることが学問だと信じている学生諸君が現地の人々の前で臆せず、現地の人々と同じ目線に立って技術指導をする。日本の技術が通用しない劣悪なインフラ環境のミャンマーで、学生諸君が知恵を絞り、自ら構築した技術を提案し、その技術が現地の人々に受け入れられるかどうか、という実践セミナーでもあります。
ミャンマーの人々の前で、一生懸命に技術指導をしている学生諸君の健気な姿を見ていると、誇らしくもあり、また私自身、教員冥利に尽きる時間を過ごしているなという実感に浸ることが出来ました。フィールド実験では40℃の熱帯林の中で流れ出てくる汗をものともせず、作業に専念している彼らの姿はまさに青春そのものの情景でした。
「教えることは教わることの10倍も100倍も難しい」という学生諸君の呟きは今でも私の記憶に鮮明に残っています。次代を担う若者たちには「チャレンジ」という言葉がよく似合う。
吉田 博(健康栄養学科)