栄養学部教員コラム vol.114
2017.03.17 管理栄養学科 中村 優
本研究室では、食品を対象とした卒業研究に取り組んでいます。研究を行うためには、食品の製造原理や原材料の理化学特性に関する知識が必要です。また、管理栄養士国家試験や、フードスペシャリスト資格認定試験においては、微生物を利用した食品や、ビールなどのアルコール飲料に関する問題も多く出題されています。そのため、アルコール飲料についての製造実習・実験も実施したいところですが、アルコールの製造は「酒税法」という法律によって制限されており、アルコールを製造するには免許を必要とするため、本学のカリキュラムでは実験・実習を行うことができない分野になります。そこで、アルコール飲料に関する知識を深めるために、代表的なアルコール飲料であるビールの製造工場を見学してきました。
日本のビールの多くは、大麦を発芽させた麦芽を原料として使用します。発芽した大麦はデンプンを分解する酵素を働かせて、発芽のエネルギーとなるブドウ糖などの糖を増加させます(糖化)。糖化後の液(麦汁)を試飲させていただいたところ、とても甘く、学生達も驚いた様子でした。その麦汁に微生物の一種である酵母を加えると、酵母は糖を体内に取り込み、エネルギーを得る過程でアルコールと二酸化炭素を生成します。甘いものが好きなところは、ヒトも微生物も同じですね。今回の研修で得た知識を4年次における卒業研究や各種資格認定試験に活かしてほしいと思います。
中村 優(管理栄養学科)