栄養学部教員コラム vol.141
2019.06.26 管理栄養学科 山田 哲雄
関東学院大学で学んでいる学生の皆さん、また、このコラムを見ていただいている高校生の皆さん、元気でお過ごしでしょうか?横浜をはじめ関東地方では、今年は梅雨らしい毎日が続いています。
皆さんはこれまで、教えを受けた教員の何気ない一言を妙にしっかりと覚えていることがないでしょうか。一方で、教員はそのことを覚えていないことがほとんどのようです。
私もまた、大学生の時に教わった先生のお話を未だにしっかりと覚えています。それは、「1日を2日にすることに挑戦したが叶わなかった。」というもので、確か「12時間を1日単位として、24時間の中で寝起きを2回設定する生活を試みたが、上手くいかなかった。」という内容だったと思います。この方法は、日の出・日の入りが1日に2回ないことにはどうやら実用化が難しいのですが、「万人に対して唯一平等な“時間”を物理的には無理でも何とか増やせないか?」という根本的な考え方の点で、実に示唆に富む薫陶でした。
数年前に、先生と久方振りにお会いすることができました。早速その話をしてみると、先生曰く、「すっかり忘れていました。1日を2日に使い分けることは実現困難でも、5年を10年にして生きるということは可能性ありです。」
先生は、裏磐梯の美術館でダリという芸術家でもあり哲学者でもある人の「ダリのブロンズ:時間の気高さ」を見て感銘を受けたそうです。ダリの言葉によれば、「時間には伸縮性がある」「時間は空間を伴った流動体」。時間は使いようによっては、長くもなれば短くもなるということだと思います。
昨年、私も裏磐梯に行ってきました。有名な五色沼湖沼群や野口英世記念館にも行ってきましたが、最大の目的は諸橋近代美術館のダリのブロンズ像で、何とも言えない時間の概念について思い耽るひと時を過ごすことができました。
時間の重要性、平等性について気付くことは、易しいようで実のところは難しい。無駄と一見思える時間も必要だと一方で思いますが、それは時間の意味を分かった上でのことだと思います。皆さんも、若い今の時期に“時間”という目に見えないものを考えてみる時間を持ってみてはいかがでしょうか。
五色沼湖沼群へ 諸橋近代美術館(遠景)
野口英世記念館