氏 名 |
津久井 学(ツクイ マナブ) |
所 属 |
管理栄養学科 |
職 名 |
准教授 |
専攻分野 |
植物性粘性物質の性状に関する研究 |
最終学歴 |
東京農業大学大学院 生物産業学研究科博士後期課程修了 博士(生物産業学) |
学部担当科目 |
食品学Ⅲ、食品学実験Ⅰ、食品加工学、食品の官能評価・鑑別 |
長期研究テーマ |
- ① 植物性粘性物質の性状解明に関する研究
- ② 食料資源の有効利用に関する研究
|
長期研究テーマ の内容 |
- ① ヤマイモをはじめ、オクラ、モロヘイヤ、ジュンサイ、海藻類など植物性粘性食品は生食あるいは簡便な調理後食する他、和菓子、麺類、水産練り製品などに特有の風味と物性を付与することを目的として天然の品質改良材として利用されている。近年では、国民の健康志向、外食産業での需要の増大に伴い、年間を通じての安定供給や使用時の簡便性などが求められ、「冷凍品」や「乾燥粉末」などが少量ではあるが市販されている。しかし、粘度が低下するなど品質の良い製品はできていない。良質な製品ができれば生鮮品としてこれまで青果物として商品価値の無い規格外品も有効利用できるなど、生産者に対する経済効果も大きい。これら食品特有の粘性は、その中に含まれる粘性物質が細胞外へ溶出し、水和することによって発現する。その粘性物質の構造、粘性発現機構などその性状が十分に解明されていないことが、高品質な製品調製する上で隘路となっている。そこで、本研究では各種植物性粘性食品より粘性物質を調製し、構造や粘性発現機構の解明を行っている。また、これら粘性食品は各種生体調節機能を有することが経験的に知られることから、これら粘質物の三次機能についても検討している。
- ② 本学周辺地域には三浦大根をはじめとした農産資源、相模湾、東京湾などの水産資源など食料資源が豊富にあるが、生産量と需要のバランスが伴わない年が多々あり、その際廃棄するなど未利用食料資源の有効利用が問題となっている。そこで、地域からの要請に伴い、これら未利用資源を利用した新規加工食品の開発・研究を行っている。
|
短期研究テーマ |
- ① ヤマイモ粘性糖タンパク質の構造解析
- ② オクラ粘性糖タンパク質の性状に関する研究
- ③ 三浦大根の有効利用に関する研究
- ④ α化米における古米臭除去に関する研究など
|
短期研究テーマ の内容 |
- ① ヤマイモ粘性物質はマンナンと糖タンパク質から構成される。このうち、各種加工処理した際の粘度低下の主な要因は、糖タンパク質のポリペプチド鎖部分の変性や糖鎖の構造変化であり、同糖タンパク質は糖鎖の末端に付与するシアル酸を介して数~十数分子会合し、高分子量化して粘性を発現する。現在、ヤマイモ糖タンパク質の粘性発現に関与する糖鎖構造の解明ならびにポリペプチド鎖の一次構造解明などを行っている。
- ② オクラの粘性は、各種加工処理においてヤマイモに比べ安定しているが、ヤマイモ同様、糖タンパク質の構造変化に伴う粘度低下がみられ、これが品質低下の主要因となっている。オクラ粘質物は、2種の酸性多糖および糖タンパク質より構成され、このうち、糖タンパク質の粘性発現のメカニズムはヤマイモとは全く異なる。そこで、同糖タンパク質の構造や粘性発現機序について解析している。
- ③ 三浦市は大根の生育が良く、大型の大根が収穫される「三浦大根」として全国屈指の産地である。しかし、近年の核家族化等から大型大根は好まれない傾向にあり、年間約50%が廃棄処分となるなど、大根の有効利用が問題となっている。一方、神奈川県は東京湾および相模湾に面した水産資源が豊富な地域でもある。そこで、三浦大根および水産資源を用いて、能登に伝わる「べん漬け」のような新規加工食品の開発を行っている。
- ④ α化米は水で戻るなどの簡便性および保存性等の面から、付加価値の高い食品である。しかし、保存食など長期保存することから、古米臭といった不快な香気が発生することが問題となっている。古米臭は、一般に不飽和脂肪酸が酵素などによって酸化され、ヘキサナールなどの青葉アルコールを生成することに起因する。そこで、古米臭の特定やα化米からの古米臭除去などについて検討している。
|
主要業績 |
(主要業績5編以内)
- ・Fractionation and Properties of Glycoprotein from Okra Mucilage
13th World Congress of Food Science and Technology(2006)
- ・ヤマイモ粘質物の性状と構造の解析(総説)
日本食品保蔵科学会誌、第29巻、4号、229~236(2003)
- ・ヤマイモの粘性糖タンパク質の性状ならびにポリペプチド鎖の構造
日本食品科学工学会誌、第48巻、第8号、578~585(2001)
- ・The Mechanism of Development of Viscosity in Yam Mannan
J. of J.A. Food Preservation Scientists, Vol.27, No.3, 141-144(2001)
- ・ヤマイモの粘質物および多糖画分の性状
日本食品科学工学会誌、第46巻、第9号、575~580(1999)など
|
受験生へ メッセージ |
【受験生の方へ】
関東学院大学で食品の研究を行っていることをご存知ですか?神奈川県は農産、水産および畜産資源が豊富な地域です。一方で過剰な食料資源を金銭的、人員的、あるいは技術的な面から有効に利用できず、廃棄している現状があります。本研究室は、食品、食品の製造、加工(保蔵)について研究する所で、メインテーマにしている植物性の粘性物質の性状解析といった研究の他に、地域からの要望に応え、周辺地域の食料資源の有効利用に関する研究なども行っています。近隣の方、是非一緒に地域の活性化に繋がる食品の開発など行ってみませんか?忍耐力、観察力、発想力のある方、是非一緒に研究しましょう。 |
皆様へ メッセージ |
皆さんこんにちは!栄養学部で食品学Ⅰ&Ⅲ、食品加工学と実習などを担当します。今日、私達が食している食品の多くは調理・加工食品です。食と栄養のスペシャリストである管理栄養士は、様々な食品がどのような成分から構成され、調理や加工処理によってどのように変化するのか、各種加工食品がどのように製造され、栄養性、嗜好性、安全性などの品質が制御されているのかを知る必要があります。この「食べものと健康」分野の一端を講義や実習を通して楽しく学んでいきたいと思います。また、私の主な研究テーマは、植物性食品の粘りです。粘りといっても食品によって多種多様で極めて複雑ですが、どんな成分がどうして粘るのか、粘りを制御できるのか、機能性はあるのか、粘りの利用など未だ分からないことばかりですが、粘り強く一緒に研究できればと願っています。
|
お問い合わせ |
tsukui@kanto-gakuin.ac.jp |
個人作成Web |
http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~tsukui/ |