教員紹介

栄養学部教員コラム vol.47

2012.03.01 管理栄養学科 井上 浩一

義父親の介護にあたって思うこと

私の義理の父親は94歳である。

 

今年の1月2日、旅行先の京都で突然、身体が震えはじめ倒れてしまい、救急車で病院に運ばれた。その際には「貧血です」と言われ、「そうなのかなあ」と思いつつ、その日、体調が落ち着いた夕方に東京へ戻った。

しかし、その翌日、杖をついて歩いていたところ、また、調子が悪くなり、いつもの病院へいったところ、心不全ということでその日に即入院した。それ以来、ずっと寝たきりである。

ここ最近は肺の水も抜け、少し回復しはじめ、何とか食事だけは自分で食べているが、病院の話では外出の際の車いすは免れないとのことで、現在、いつでも退院し、在宅で介護できるよう、家の改修工事を行っているところである。病院での看護師さんの看護をみていると、おしっこ、便の処理など到底家庭でできるようなものではなく、さらに義父親は体重が60kgを超えており、83歳の義母親にとっては到底、日中の父親の対応は厳しいかなと感じている。

食事も、トイレも、お風呂も自分で行っていたものが、突然、すべてが介護となると、大変さを改めて感じている。義父親はこれまで食事だけは旺盛で、これだけが楽しみとしていた。とくにこってり系が大好きである。心不全になったのも当然なのかもしれないが、94歳だから体重は重すぎるとは思いつつも、食べないよりもいいかと思い、どちらかと言えば、自由に食べさせていた。

今は糖尿病食を病院では食べており、そのギャップが大きいのか、いつも、食べる時、溜息をついて、こんな食事はいやだとその態度をいつも見せている。糖尿病食だけにカロリーも低く、今は少しずつ体重が減っている。

これまでは義母親にわがままを言いながら、好きな物を食べていただけに辛いのだろう。そのことは食事の食べ方にも表れている。食事にまず手を出すのは食べやすく、自分が好きなものに手を出している。

 

例えば、ごはんとミカンの缶詰をおかずに食べてしまってから、次にきざんである野菜や魚に手を出し、最後にこれらは少し残してしまうという食事日課である。小さい子どもの食べ方そのものである。ついつい私もごはんとおかずのミカンの食べ方には「おいしいですか」と、心の中で笑いながら聞いてしまう次第である。

ただ、有りがたいことに病院を退院したら、おいしい物を好きなだけ食べるぞとの意識は持っており、それだけに必死に歩く努力をしている。私たちも自分で歩いて、トイレに行けるようにならないと、このまま施設に入院し、糖尿病食だからねといっているだけに、義父親もなんとか好きな外食をしたい、自分の好きなものを食べたいという一心に歩く努力をしていることについては感心している。

もしかすると、前と同じように歩けることができるようになるかもしれないと期待を寄せている。この年齢になると、単に食事を食べるという行為に過ぎないのかも知れないが、好きな物を好きなだけ食べるという楽しみが、今の義父親には生きがいであり、頑張る意識を与えているだけに、食事の大切さを感じる。食事への楽しみを失ったときに人は終わるのかなと感じるこの頃である。

 

 

井上 浩一(健康栄養学科)

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