栄養学部教員コラム vol.161
2021.05.17 管理栄養学科 田中 弥生
(公社)日本栄養士会では、4つの大きな政策・事業を行っていますが、本コラムでは、そのうち災害支援チーム(JDA-DAT)と栄養ケア・ステーション事業をご紹介します。
まず、災害支援チーム(JDA-DAT)は、栄養・食生活支援活動を通じて、管理栄養士として被災地支援を行います。JDA-DATは、国内外で大規模な自然災害(地震、台風など)が発生した場合、迅速に被災地内の医療・福祉・行政栄養部門と協力して、緊急栄養補給物資の支援など、状況に応じた栄養・食生活支援活動を通じ、被災地支援を行います。JDA-DATは、災害発生後72時間以内に行動できる機動性、大規模災害に対応できる広域性、栄養支援トレーニングによる専門的スキルを有する必要があります。学生の皆さんは卒業後、管理栄養士という国家資格を得た後に研修によって養われることになります。JDA-DATは被災地において、次のような人的支援、物的支援を行います。情報収集では、被災地の医療・福祉・行政栄養部門と連携し、情報の収集・伝達・共有化を行います。緊急栄養補給物資の支援(特殊栄養食品ステーション設置):必要物資の内容・量を把握し、物資の手配・分配の指揮を行います。 特殊な栄養食品などについては、日本栄養士会に支援要請ができる場合もあります。栄養補給:被災施設・避難所などで責任者の許可のもと、個人に対して直接栄養補給の支援を行います。対応の困難な被災者への支援:医療機関への連絡などの対応を行います。平時においては、地域における災害対策活動などへ協力しています。JDA-DATでは、災害発生時に自助・共助・公助が円滑に行われるように、平時の防災活動を支援しています。また、専用車を活用した広報活動を行っています。JDA-DATでは、災害支援医療緊急車両があり、復興支援プロジェクトなどを行っています。この車はキッチンボックスを搭載したキッチンカーです。平時は、各都道府県栄養士会でのJDA-DAT活動に利用し、災害時には、JDA-DAT災害支援医療緊急車両として活動します。
次に栄養ケア・ステーションをご紹介します。
栄養ケア・ステーションは、食・栄養の専門職である管理栄養士・栄養士が所属する、地域密着型の拠点です。地域住民の方はもちろん、医療機関、自治体、健康保険組合、民間企業、保険薬局などを対象に管理栄養士・栄養士をご紹介、用途に応じたさまざまなサービスを提供します。サービス内容は、毎日の食・栄養について、管理栄養士・栄養士が直接的にサポートしたり、管理栄養士・栄養士が各所へ訪問します。例えば、日々の食・栄養に関する相談から特定保健指導、セミナー講師、調理教室の開催まで、栄養学に基づいたさまざまなサービスを展開しています。
例を挙げると横浜市青葉区医師会では、実施する6つの事業の中に、訪問看護ステーション、訪問介護ステーション、青葉区在宅医療連携拠点などと並んで、認定栄養ケア・ステーションが入っています。医師会に所属する青葉区内の各クリニックの医師が、栄養指導を受けさせたいと判断した、あるいは栄養指導を受けたいと申し出た患者さんに対して、自院あるいは在宅で栄養食事指導を実施するために、認定栄養ケア・ステーションから管理栄養士が紹介される仕組みがあります。現在、毎月の依頼はクリニックと在宅訪問栄養食事指導を合わせて30件程度あり、青葉区医師会が主催する健康フェスティバルに認定栄養ケア・ステーションとして出展したり、栄養食事指導や嚥下調整食などの紹介などの活動を行い医師会のニーズに応えています。
(引用文献:日本栄養士会ホームページ)https://www.dietitian.or.jp/about/concept/